東京電力原子力部門の人為的ミスによるあの忌まわしい事故から早5年の歳月が過ぎようとしている今日、当院ホームページの一部改訂をすることにしました。
御多分に漏れず”あの日”以来、当院も閉鎖に追い込まれました。
当時抱えていた数多の妊産婦さんのその後の去就、心情を考えると日増しに増幅してくる自責の念を抑えきれず看護師不足という最大の地域事情を承知の上、帰還を果たし平成24年5月より産科業務を再開しました。
上記の諸問題は未だ慢性的に山積して居りますが、どうにか集まっていただいたスタッフ全員、虚心坦懐、安全な医療を提供すべく連日連夜、歯を食いしばって戦っています。
一方、この国を俯瞰するにつけ強引な経済政策、国防政策、とりわけこの地区を完全に棄民扱いしているエネルギー政策を思うと憂国の情で押しつぶされそうになります。
齢60の躰はつとに悲鳴をあげていますが、この地区の産科医療事情を考慮すればそれに抗ってでも医師生命を賭して診療所としての役割を最大限全うしていかねばと日々念じて居ります。
明日の明るい南相馬市の復興を夢みて…。
平成28年4月
西潤マタニティクリニック
理事長 西 智雄